最近、歌手としての石原裕次郎を研究してます。

 

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見逃されがちですが、

わたしも長い間見逃してましたが、

お兄さんの石原慎太郎はいまだに「歌は俺の方が上手い」と言い続けているそうですが(笑)、

石原裕次郎って歌がすごく上手いです。

 

芸術の分野で、プロに向かって「上手い」って言うのは、「独自の何かを表現できている」ってことですね。

 

歌の場合だと、音程があってるとか、音長があってるとか、声が出てるとか、声が高いとか低いとかそーゆーことではなく、歌手が独自の何かや個性を手に入れて、それをわたしたちに伝えてるってことですね。

 

そこんとこで、石原裕次郎ってのはすごく上手い歌手だなー、と、今さら気づいたわけです。Youtubeで見て。

 

というわけで、まず「石原裕次郎リサイタル」買ってみました。昭和42年に行われた全国ツアーのライブ録音(東京公演)+ライブ映像(大阪公演)です。

 

 

↑これ、良いですねー。

 

石原裕次郎が良いのはもちろんなんですが、なんつーか、

 

「日本で音楽演奏が一番必要とされていた時代の空気感」

 

みたいなものがたまらないですね。

 

なんつったって、1つのリサイタルにバンドが3つも入ってます。

 

その中に「有馬徹とノーチェ・クバーナ」と「ロス・インディオス」も入ってるっつーんだから凄いですよね。

 

そいでまた、この2バンドが上手いわけです。ゴージャスで。

 

ノーチェ・クバーナは「エル・クンバンチェロ」が、ロス・インディオスは石原裕次郎のカバー曲「世界に賭ける恋」が収録されてます。

 

ロス・インディオスっつーと、われわれの世代では「別れても好きな人」なわけですが、

 

 

それ以前の、ラテンの香りをぷんぷんさせているロス・インディオスの基本形が聞けます&見られます。貴重です。

 

司会は、藤村有弘です。これも豪華ですねー。

 

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1982年に48歳の若さで急逝されたので、われわれの世代は藤村有弘の小粋な語り口を十分堪能できませんでした。貴重な録音です。

 

もう一つ貴重なのは、桂小金治です。CDの方にちょっとだけ登場します。

 

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石原裕次郎と親しくて、前回のリサイタルの司会をやったそうで、

 

「客席にいらっしゃるので、一言いただきましょう」

 

って感じで登場してきます。

 

で、軽く一席ぶつんですが、これが面白い。声が良くって口舌が良くて。

 

桂小金治っつーと、わたしなどは「司会やってて、むやみに泣いたり怒ったりしてる人」みたいな印象しかなかったので、ビックリしました。

 

調べてみると、将来を嘱望された落語家だったそうですが、若い頃『幕末太陽伝』『洲崎パラダイス』の映画監督・川島雄三に見込まれて映画の方に行き、落語家としての栄達を捨てたんだそうです。

 

口が悪くて、同業者に評価の厳しい立川談志(弟弟子にあたる)さえ、晩年までそのことを惜しんでしたそうです。

 

貴重です。

 

その小金治が、CDの中で、

 

「酒を断って臨んでいるせいか、抜群の声ですね」

 

なんて石原裕次郎を讃えてるんですが、確かに良い声です。

 

いや、もともと声は良いし、晩年まで、大病をされても声の良さは不思議と衰えませんでしたが、なんか、こー、このリサイタルの声は、深みと広がりがある感じです。

 

このリサイタル以後、石原裕次郎は一切リサイタルを行わなかったそうなので、言わば貴重な、最後のライブ録音です。

 

お薦めです。