どうでしょうか、皆さん、昭和40年前後生まれの皆さん、江利チエミっつーと、

 

「サザエさんの実写版をやってて、早くに亡くなっちゃったバラエティ女優」

 

みたいな意識しかなくないっすか?

tribute

歌手だったってのは知ってるけど、歌聞いても特に感銘受けたことないし。って思ってなかったすか?

 

これがね、若い頃の歌唱を聴くと上手いんすよ。YOUTUBE見て知ったんだけどね↓

昭和28年の公開された映画『青春ジャズ娘』の一場面から「想い出のワルツ」ですが、モダンですねー。昭和12年生まれの少女が歌ってるとは思えない。

 

調べてみると、一時は美空ひばりと肩を並べるほどの人気だったそうで、おそらくそのため、美空ひばりは若い頃ジャズの曲を色々吹き込んだんではないか、と。ま、ジャズが人気あったってのもあるでしょうが。

 

この昭和12年に生まれた少女が、軍国主義と戦争の時代に子供時代を過ごしたにも関わらず、12歳の頃から米国進駐軍のキャンプで米国の歌を歌うことを仕事にして、米国の歌を自分の物にしていくわけです。

 

その様子が、つまり従来の日本風とは違うリズム感や言語イメージを操って爛漫に歌う様子が、戦前的なものを引きずらない開放感を人々に与えたんでしょうね。

 

敗戦によって経済も心身もダメージを受けて、ボンヤリとした霧の中にいるような当時の日本人に、江利チエミも美空ひばりも、さらに例えば後年の石原裕次郎も、新しい若者像と彼らによる豊かな未来のイメージをまとっていたため、民衆は熱狂して迎え入れたのかもしんないすね。

 

というわけなんですが、そこから最初の話に戻ります。

 

この少女が、なぜ昭和40年生まれの私には

 

「サザエさんの実写版をやってて早くに亡くなったバラエティ女優」

 

みたいな感じにしか受け取れなかったかと言うと、簡単に言えば歌が上手くなくなったんです。だんだんと。

 

で、色々聞き比べてみると、声の変化にうまく対応できなかった、と。

 

特に女性は、加齢と共に声が変化しやすいです。これは印象で言っているのではなく、福島だか郡山だかの大学のある先生の調査で明らかになった科学的な話です。ちょっと先生の名前と調査名は忘れましたので、ご自身で調べてください(笑)

 

声の変化は、もう、筋肉が衰えるので仕方ないのですが、その変化した声に合わせて歌唱法を変える必要があります。

 

どうも江利チエミは、そこのところが上手くいかなかったようです。

 

若い頃の「美しく澄んだ高い声」という武器を失った後、新しい別の武器を得ようとして、どんどんバランスを崩しています。

 

そこで重要なのは自分の中の批評眼、もしくは非常に身近にいる批評センスを持った協力者なんですが、ただ、ま、ぶっちゃけ、あれだけスターになっちゃうと、歌手としての力量なんてどうでも良くなっちゃうかもしれませんね。昔のヒット曲を歌っていればいいわけだし、バラエティ女優としての仕事もあるわけだし。

 

ただ、我々が知らなければいけないのは、

 

バランスに神は宿る

 

ということです。バランスを崩せば、天才少女歌手もその座にいられなくなる、ということです。