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石原裕次郎の石原プロの黒歴史がHuluで見られるようになってた

以前YOUTUBEで見たんですが(今は削除されちゃったみたいです)、あるインタビューで、石原裕次郎の奥さまの石原まき子さん(北原三枝)に、

 

「裕次郎さんの歌の中で好きな歌はどれですか?」

 

と質問したところ、

 

「『二人の世界』です」

 

と即答してました。

 

音楽として、というより、昭和40年に大ヒットしたお陰で印税がたくさん入り、税金を払えたんだか、石原プロが助かったんだんだか、そーゆー趣旨のことをおっしゃってました。

 

あぁ、この女性は、大スターの奥さまというより、事業家の奥さまだったんだなぁ、と思いました。

 

石原裕次郎の石原プロといえば、大ヒットしたテレビ番組『大都会』『西部警察』等々でとても成功している組織だと私なんかは思ってましたが、『大都会』『西部警察』をリアルタイムで見ている世代なのでね、しかし実は大変な苦労をして、危機を乗り越えて、テレビ番組制作に活路を見いだしたんだそうです。

 

昭和40年前後、石原プロが先駆けとなって、いわゆる「スター・プロダクション」がいくつか出来ました。しかし、映画の斜陽化と共に経営難になり、今も残っているのは石原プロと三船敏郎の三船プロダクションくらいのようです。

 

しかし三船プロは昭和50年代中盤に大分裂劇があり、その後事業をかなり縮小したそうなので、「スター・プロダクション」でうまく行ったのは石原裕次郎の石原プロだけみたいですね。

 

石原プロは、設立当初から『太平洋ひとりぼっち』、『黒部の太陽』、『栄光への5000キロ』が大ヒットし、当時所属していた黛ジュンの活躍などで収益を上げたそうですが、映画産業自体の斜陽化と共に負債を負うことになったそうです。

 

その辺りのことを、石原裕次郎の兄の石原慎太郎が『弟』で詳述しており、とても読み応えがあります。

 

結局、『黒部の太陽』『栄光への5000キロ』の大成功、しかもこの2作は当時の映画の作り方、配給法も変えてしまった、とても独創的で記念碑的な作品なんですが、この大成功によって、逆にほころびが顕在化したのだ、と。

 

「弟が限られた人間関係の中から何を見込んで連れてきたのか知らぬが、所詮世間を知らぬ活動屋の狭い世界での錯覚と独りよがりを背負ったNとZという男たち二人が、続いて会社の専務として迎えられ、人のいい弟が彼等の過信を見逃している間に、どう考えても当たる訳のない作品を不用意のまま次々と製作してしまい、結局その財政的なつけを弟が身をへずらせてはらわされることになった」

 

昭和40年代中盤、石原裕次郎が日活から連れてきた人材が、『富士山頂』『ある兵士の賭け』『エベレスト大滑降』『甦る大地』と立て続けに興業失敗作を制作し、石原プロは窮地に陥ったそうです。ま、NとZにも言い分はあるでしょうけどね、実際問題として映画は当たらず、石原プロは窮地に陥った、と。

 

その窮地を脱したのは、テレビ番組への出演とテレビ番組製作への注力でした。

 

こう書くと簡単ですが、石原裕次郎というのは映画スターです。大スターです。

 

だけでなく、『弟』によれば、『狂った果実』で監督の中平康があちこちの名画からオマージュを込めて引用したシーンを、

 

「あぁ、これは『陽の当たる場所』の湖のシーンだ」

 

なんて風にずいぶん見破ったほどの映画好きです。

 

当時、映画とテレビというのは別物で、映画人から見るとテレビ番組に出演したり、製作したりというのは、一種の都落ち感があり、あんまりやりたがらなかったそうです。

 

映画の大スターであり、大の映画好きである石原裕次郎も最初はやりたがらなかったそうですが、石原プロの負債のために、やむをえず引き受け、それが大成功しました。

 

ここがね、石原裕次郎は事業家ですね。

 

ビジネスにおいて、やりたい事とやらなければならない事は違う場合が多いです。言い換えると、儲かることは必ずしもやりたい事ではないし、やりたい事をやり続けると儲からないことが多くなります。当時の映画とテレビというのは、そーゆー関係でしょう。

 

そこを映画からテレビへシビアに切り替えられるのが、石原裕次郎の事業家としての才能じゃないですかね。

 

さて、そんな石原プロを危機に陥れた作品群、言わば石原プロの黒歴史が、Huluで見られるようになってました↓

富士山頂

ある兵士の賭け

甦る大地

だけでなく、石原プロの成功作も見られます↓

太平洋ひとりぼっち

黒部の太陽

栄光への5000キロ

大都会

Huluは日本テレビ資本になってから外国のテレビ番組が減っちゃって減っちゃって残念だったんですが、この配信はステキです。