小説を読まない私にとっての司馬遼太郎『関ヶ原』~お薦めの電子書籍

本を読んでますと、10年に1回くらい生涯の出会いのような素晴らしい本、というか、自分の何かを全面的に解決してくれるような本に出会いますね。

 

私にとって最初に出会ったそのような本は、高校の時に読んだ司馬遼太郎の『関ヶ原』です。電子書籍版が出ていたので、ご紹介。

 

私、本は読むんですが、小説は読みません。なんか、どうしたってリアリティのない作り事のような気がして。その昔、大学のゼミの先生の紹介で新日本文学会っていう、ま、一種歴史的な左翼系文学者の団体、主に小説家らしき人々が集まってる団体でバイトしたことがありまして、その面接で「小説は読みますか?」と尋ねられて困ったことを思い出します(笑)

 

小説は読みませんが、司馬遼太郎だけは高校の頃から50歳を過ぎた今まで読み続けています。抜群に面白いですね。それと、日本史好き&歴史上の史実を背景に幻想を記しているので、リアリティがあるからだと思います。

 

日本史を題材にしていると良いのかというとそーゆーわけでもないらしく、松本清張とか海音寺潮五郎とか、吉川英治とか池波正太郎とか、約30年前当時に評価の高かった歴史小説家の本は一通り読みました。なんか、ピンと来なくて、やっぱり司馬遼太郎だけを読み続けています。

 

司馬遼太郎ってのは、ほんとに小説が上手いんですよ。小説を読まない私が言うのもナンですが(笑)、特にお若い頃の短編小説なんて、ほんとに上手いです。

 

ただ、ご自身は短編小説を書くのが苦痛だったようで、次第に長編小説のみを書くようになります。

 

で、大ヒット作の『竜馬がゆく』の途中から、小説の中に語りというか、司馬の独白を混ぜるような文体を確立して完成度を高め、独自の表現を切り開きました。

 

これが面白いんだと思うんですね。歴史にからめる司馬の独白が。

 

つまり、文字だけで表現するモノってのは、あらかじめ限界があります。例えば『坂の上の雲』で戦況の説明のために朝鮮の地名あるいは日本海海戦の状況等々が詳細に克明に記されますが、なんだかよくわかりませんし、どこだかよくわかりません。文字を読んでいるだけでは。

 

あるいは、『関ヶ原』を始め、戦国モノの小説の多くは関西が舞台ですので、関東の人間である私には地形関係を文章で説明されても、よくわかりません。

 

例えば、ですが、そのような限界があります。文字だけで表現されるモノには。

 

しかし、ある人間が考えたことや喋ったことを記すのには文字が優れています。

 

つまり、小説内での司馬の独白というのは、文字表現の限界を破るというか、拡張するというか、そーゆー意味のある文体です。そこに司馬文学独自の味わいがあり、とても面白いわけです。

 

『関ヶ原』なんて最適ですね。東軍・西軍の色んな人物が出てきますから。関ヶ原の合戦に至る壮大な人物劇を、司馬の独白を縦横にからませて、とてもわかりやすく、面白く描写したわけです。2018年に再読しても、やっぱ面白かったです。